末路としての現在 ― 排除と嘘

『情報と調査』というPDF版情報誌の記事に、
「暴力団の資金源根絶を目的にした暴排条例が全都道府県で出そろった。
 このようなことで資金源根絶になるわけがないにもかかわらず、警察の利権確保と役人の点数稼ぎのようなバカバカしい条例であることは、長年取締りにかかわってきた現場の捜査官や、取材記者などはわかっているはずにもかかわらず、それを指摘しようとしないで、芸能人スキャンダルというエサをもらって狂奔するマスコミももはや自分で自分の首に縄をかけた状態である」
「裏社会のみを厳しく取締まり、表社会の不正を放置したことが、社会と犯罪の関係を必要以上にねじれさせ、本当の「悪」を見えなくさせている」
 という下りがあった。
 いい指摘だ。
 悪い事をするのは、何もやくざに限った話ではないというだけなのだが、条例で「暴力団」を排除すれば「悪」がなくなるなどと嘘をばらまいて、その嘘と現実との隙間で、警察が利権、役人が点数、マスコミは芸能人スキャンダルを稼ぐという薄汚い利害共同体を作る。
「暴力団排除条例」はどう見ても憲法違反だが、憲法には九条しかないと思い込んでいる風の護憲派も、「暴力団」を出されると憲法を踏みにじる方向に走る。これじゃ護憲派、九条ボケとしか言いようがない。
 嘘に覆われて、本当の、あるいは表社会の悪がはびこって行く。この救われなさは、まぎれもなく日本の現在の一面である。

(『情報と調査』については、 ゼロイン をご覧ください)